ガソリンスタンドは24時間営業が多く、屋外かつ現金を扱う店舗形態であるため、備品の盗難や給油詐欺、強盗などのリスクが高い業種の一つです。また、深夜帯の営業や少人数シフトでは従業員の安全確保も重要な課題となります。
そうした中、防犯対策として有効なのが「防犯カメラ」の導入です。適切に配置することで、犯罪の抑止だけでなく、万一の際の証拠確保や業務改善にもつながります。
本記事では、防犯カメラをガソリンスタンドに設置するメリット、カメラの選定ポイント、費用感、導入事例までを詳しく解説します。
安心・安全な運営体制の構築を検討されている管理者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ガソリンスタンドのリスクと防犯課題
ガソリンスタンドは、現金・危険物を取り扱う特殊な営業形態であることから、防犯面でさまざまなリスクを抱えています。特に無人化が進む中で、トラブルの「未然防止」と「万が一の証拠確保」がますます重要視されるようになっています。
ここでは、ガソリンスタンドにおける代表的なリスクと、それに伴う防犯課題を詳しく解説します。
深夜帯の強盗や給油後の無断走行(ガソリン泥棒)
深夜営業や24時間運営を行うガソリンスタンドでは、人目が少ない時間帯に強盗などが発生するリスクが高まります。ここで活用されているのが、防犯カメラの導入です。特に、ナンバープレート撮影に強い高解像度カメラやAI解析機能付きのモデルを導入することで、証拠映像を残し、警察への通報時にもスムーズに対応できます。
車両盗難や備品の持ち去り被害
給油所は常に複数の車両が出入りしており、敷地内に設置された備品が無断で持ち去られるケースも少なくありません。
これらの行為は従業員が目視で監視するには限界があり、死角の多いスタンドほどリスクが高まります。そこで「防犯カメラ」の導入が効果的です。全方位カメラやPTZ型(パンチルトズーム)カメラなどで敷地全体をカバーすることにより、不審な車両の動きや深夜の盗難行為などをしっかり記録・抑止できます。
従業員への暴言・暴力などの人的トラブル
意外と見落とされがちなのが、顧客と従業員間で発生するトラブルです。「順番をめぐる口論」や「接触事故後の責任の押し付け合い」、さらには「接客態度に不満を持ったお客様からの暴言・暴力」といった事案も発生しています。
こうした場面では、防犯カメラの映像が大きな助けになります。録画された映像を見返すことで、どちらに非があったかを冷静に判断できるだけでなく、従業員を守る“証拠”として機能することもあります。特に、音声記録が可能なカメラを採用すれば、会話の内容まで正確に残すことができ、クレーム対応にも有効です。
不審者・迷惑行為への対応と記録の必要性
トイレの無断利用や長時間の駐車、ゴミの投棄、酒に酔ったままの給油など、ガソリンスタンドには日々さまざまな“迷惑行為”が発生しています。敷地内をうろつく不審者など、警戒すべきケースも存在します。
こうしたリスクに対しても、防犯カメラの設置は有効です。遠隔監視に対応したカメラを導入すれば、管理者が事務所やスマートフォンからリアルタイムで状況を把握し、必要に応じて通報や警備会社への連絡を迅速に行うことが可能になります。さらに、カメラの映像は「迷惑行為を行っていた証拠」としても活用でき、後から警察に提出したり、近隣住民からの苦情対応にも信頼性の高い資料となります。
防犯カメラがガソリンスタンドにもたらす主な効果
ガソリンスタンドにおけるリスクは多岐にわたりますが、防犯カメラの導入によって得られる効果は非常に大きく、単なる「監視」の枠を超えて多方面で役立ちます。
ここでは、防犯カメラがガソリンスタンドにもたらす4つの代表的なメリットについて解説します。
メリット①:犯罪の抑止と犯行時の証拠記録
万が一、強盗や窃盗といった犯罪が発生した場合でも、高画質なカメラ映像は事件の記録として、警察へ提出できます。特に、ナンバープレート撮影に対応したカメラを導入すれば、車両による逃走にも迅速に対応可能です。
防犯カメラは「ガソリンスタンドの安全管理」において、まさに第一の防衛線といえる存在です。
メリット②:給油詐欺・料金未払いへの対応強化
フルサービスのガソリンスタンドでは、給油後に支払いをせず逃走する「ガソリン泥棒」の被害が増加傾向にあります。AI搭載型カメラを導入すれば、ナンバープレートから過去の逃走履歴を自動で判別し、警報を出すといった高度な運用も可能です。これにより、「給油詐欺」への対応力は大きく強化されます。
メリット③: 従業員の安全確保とトラブル時の保護
ガソリンスタンドの現場では、従業員が理不尽な被害を受けるケースも少なくありません。防犯カメラは、万が一の際も、映像が証拠となって事実関係を明確化できるため、従業員の正当性を証明する材料になります。
従業員の働きやすい環境づくりにも貢献することから、防犯カメラはガソリンスタンドの「職場環境改善ツール」としても重要な役割を担っています。
メリット④: 接客対応や作業手順の可視化による業務改善
防犯カメラは、“防犯”だけでなく、“業務管理”という側面でも活用価値が高まっています。たとえば、スタッフの接客応対、給油時の作業手順、洗車対応などを映像で確認できることで、オペレーションの見直しや教育指導がしやすくなります。単なる監視ではなく、「業務品質の可視化と向上」にも寄与するため、導入による費用対効果も高くなります。
ガソリンスタンドに防犯カメラを設置する際のポイント
ガソリンスタンドに防犯カメラを導入する際は、設置場所やカメラの機能性、画質や性能などを適切に選ばなければ、十分な防犯効果を発揮できません。
ここでは、防犯カメラの効果を最大化するために押さえておきたい重要ポイントを解説します。
出入口・給油レーン・精算機周辺の死角をなくす設置
まず基本となるのは、スタンド内の“死角”をなくすカメラ設置です。ガソリンスタンドでは、車の出入口、給油レーン、洗車場、精算機、事務所付近など、リスクが高い場所が点在しています。特に、車両が頻繁に出入りする動線では、瞬時の記録がトラブル防止に直結します。
防犯カメラの導入で失敗しないためには、現地調査を行い、車の動きや人の導線を踏まえた配置が必須です。固定カメラと可動式(PTZ)カメラを組み合わせて、広範囲を無駄なくカバーできるようにしましょう。
また、録画映像を後から確認するだけでなく、リアルタイムで遠隔監視できる体制も整えておくと、さらに安心です。
夜間監視用の赤外線・高感度カメラの導入
ガソリンスタンドの多くは深夜も営業しており、人通りの少ない時間帯にこそトラブルが起こりやすい傾向にあります。暗所での録画品質が悪ければ、せっかくの防犯カメラも意味を成しません。そのため、夜間や照明の少ない場所でもクリアに映像を記録できる「赤外線照明搭載カメラ」や「高感度センサー搭載モデル」を導入することが重要です。
最近では、夜間でもフルカラー映像が可能な「スターライトカメラ」なども登場しており、犯行時の人物特定や車両の判別に役立ちます。
車両ナンバーや人物識別が可能な高解像度機種
映像が残っていても「画質が粗くてナンバーが読めない」「顔が判別できない」といった事例は少なくありません。防犯カメラを設置するうえで、解像度は非常に重要な選定基準です。
現在主流となっているのはフルHD(2メガピクセル)〜4K(8メガピクセル)対応のモデルで、ナンバープレートや人物の特徴まで鮮明に記録できます。特に、給油機の前や精算機周辺では、車両のナンバーやドライバーの顔が明確に映るようなカメラ設置が効果的です。
AIによる画像補正機能や逆光補正、HDR(ハイダイナミックレンジ)といった最新技術を活用すれば、昼夜を問わず安定した画質が確保できます。
音声録音やAI分析など多機能カメラの活用
最近では、音声録音やAIによる動体検知・異常検知といった先進的な機能が注目されています。これらを活用することで、単なる「記録装置」から「防犯支援装置」へと進化させることが可能です。
たとえば、AI搭載モデルであれば、不審な動きを自動で検知し、管理者へアラートを送るといった運用も可能になります。
さらに、人物・車両の識別、特定ナンバーの自動検出など、セキュリティ強化にも応用が可能です。こうした多機能カメラの導入は、ガソリンスタンドの安全・効率に大きく寄与します。
ガソリンスタンドに適した防犯カメラの種類と選び方
ガソリンスタンドでは、広い敷地と複雑な導線、そして屋外環境という特徴から、設置する防犯カメラにも一定の性能や機能が求められます。
ここでは、現場に最適なカメラの選び方と、それぞれの種類の特長について解説します。
屋外型防水・防塵仕様の耐久性あるモデル
屋外に設置されるカメラは、雨・風・砂埃といった自然環境にさらされるため、防水・防塵性能が非常に重要です。特に、給油中の油煙や静電気が発生しやすいガソリンスタンドでは、トラブルが起きにくい耐久性の高いモデルを選ぶことがポイントです。
「IP66」や「IP67」などの防水・防塵規格に対応しているカメラであれば、長期間にわたって安定した監視が可能になります。
PTZカメラによる広範囲監視とズーム対応
複数の給油レーンや出入口を持つ大型のスタンドでは、1台のカメラで広範囲を見渡せる「PTZ(パン・チルト・ズーム)カメラ」が有効です。このタイプのカメラは、遠隔でカメラの向きやズームを自在に操作できるため、特定のエリアを詳細に確認したい場面にも対応できます。
通常のカメラと組み合わせることで、常時の広域監視とピンポイント対応を両立させることができ、効率的なセキュリティ体制が構築できます。
AI搭載型によるナンバー認識・人物追跡機能
AI技術を活用したカメラは、車両や人物の動きをリアルタイムで検知し、必要に応じて警告を出したり録画を自動で開始したりすることができます。ナンバープレートの自動認識機能を搭載したモデルでは、過去に問題を起こした車両を記録し、再来店時に即座に通知するといった高度な運用も可能です。
また、人物の動線を追跡する機能によって、敷地内での不審な動きを即座に把握することができ、深夜や無人の時間帯にも安心感を高めてくれます。
防犯カメラ導入にかかる費用とコスト
防犯カメラの導入を検討する上で、費用は重要な要素です。主な費用とそのコスト感について解説します。
初期費用(機器代・設置工事費)の目安
防犯カメラを設置する際の初期費用は、主に「カメラ本体の費用」と「設置工事費」に分かれます。
- カメラ本体の費用は、カメラの種類や性能、設置する台数によって変わります。
- 設置工事費は、カメラを取り付ける場所、配線の取り回しの難しさ、電源工事の必要の有無で変わります。電源が遠い場所や、配線を目立たないように隠す工事が必要な場合は、費用が少し高くなります。
メンテナンス費・録画機器の更新費などのランニングコスト
防犯カメラは設置して終わりではなく、安定して使うためには毎月・毎年のコストもかかります。主なものは次の通りです。
- 定期的なメンテナンス費用
- 録画機器(HDDなど映像を保存する機械)の交換費用
- クラウド録画サービスの月額料金
特に録画機器は24時間365日稼働するため、HDDの劣化などで数年ごとに交換が必要です。また、長期間映像を保存する場合は、大容量のストレージが必要になり、費用も増えます。
当社では定期メンテナンス契約プランのご提案もしております。定期メンテナンス契約を結ぶことで、定期点検や突発的なトラブル対応にもご対応させていただきます。
サブスクリプション型導入(レンタル・リース)の選択肢
防犯カメラの導入方法として、初期費用を抑えたい場合や長期間の利用を前提とする場合、サブスクリプション型の導入が有効です。特にレンタルは、小規模店舗でも利用できる柔軟なサービスです。
レンタルの特徴
- 初期費用を大幅に削減:購入時の高額な初期投資が不要で、月々の定額料金で利用できます。
- 契約期間や保守・メンテナンス契約は業者によって異なる:レンタルサービスの契約期間や保守・メンテナンスの内容は業者ごとに異なります。防犯カメラは長期間使用すると故障や劣化のリスクがあるため、必要に応じてオプション契約を追加し、定期的な点検やメンテナンスを行うことが非常に重要です。
法人・個人事業主の方はリースも可能
法人や個人事業主の場合、レンタルだけでなくリース契約を選択できる場合があります。リースは経費処理がしやすく、長期的な利用に向いています。ただし、リース契約には契約期間や中途解約の制約があるため、事前に条件を確認することが重要です。
自治体・業種別の助成金活用の可能性
国や自治体、業界団体が助成金や補助金を出している場合があります。こうした制度をうまく使えば、導入費用の一部や場合によっては多くの金額を補助してもらえることもあります。費用負担を減らすためにも、導入を考えている方は、まずはお住まいの自治体や関連する省庁のホームページで最新情報をチェックしてみましょう
申請には条件や期限があるので、事前に確認することが大切です。
防犯カメラでトラブルを解決した実例紹介
防犯カメラの最大の強みは、“証拠として残る記録”です。
ここでは、実際に防犯カメラの記録によってトラブル解決につながった代表的な事例をご紹介します。
1.給油後の無断出庫車両を録画映像から特定
ある店舗で発生したのは、給油後に料金を支払わず走り去るケース。従業員が対応しきれない瞬間を狙った犯行でしたが、防犯カメラの録画映像から車両のナンバープレートや車種、逃走方向までを鮮明に記録しており、速やかに警察に通報することができました。
その後、映像記録が決め手となって加害者の身元が判明。被害届の受理もスムーズに進み、同様の被害が再発することを防ぐ大きな抑止力にもなりました。
2.深夜の不審人物による強盗未遂を未然に防止
24時間営業のスタンドにおいて、深夜に挙動不審な人物が複数回敷地内をうろつく様子が映像に記録されていました。AI機能を活用した防犯カメラが動体検知で異常を検出し、管理者のスマートフォンにリアルタイム通知が届いたことで、即時に警備会社へ連絡。スタッフの身の安全を確保しながら、警戒態勢を整えることができました。
その後、防犯強化が伝わったことで、該当人物の来店はなくなり、未然に被害を防ぐ結果となりました。
3.店舗備品の盗難を映像証拠により追跡・通報
洗車機や給油ノズル周辺に設置された備品が営業時間中に持ち去られる被害が発生。誰が盗んだのか分からず対応に苦慮しましたが、防犯カメラがしっかりとその一部始終を捉えていました。
録画映像を確認した結果、利用者の中に不自然な動きをする人物が映っており、時間帯や服装、車両のナンバーも特定。すぐに通報し、被害届とともに映像を提出することで、盗難事件として正式に取り扱われました。
こうした記録があることで、口頭の証言だけでは成立しにくい被害でも、明確な証拠として状況説明が可能になります。
4.クレーム時に映像記録がスタッフ保護に役立った事例
あるセルフスタンドでは「スタッフの誘導が正しい順番ではなかった」とクレームが入りましたが、映像を確認したところ、スタッフの誘導は正しい順番で行われていたことが確認できました。
この映像を管理者が社内で共有し、事実確認を経て対応することで、スタッフの名誉も守られ、再発防止にもつながる結果となりました。防犯カメラは“監視”だけでなく、従業員を守るための盾にもなります。適切に設置された防犯カメラは、店舗運営全体を支える存在として非常に重要です。
セキュリティーフォーユーが行ったガソリンスタンド防犯カメラ設置事例
給油レーンに防犯カメラを導入
フルサービスのガソリンスタンドにバレット型カメラを設置しました。
給油所全体を見渡せる配置に設置したため、「万が一のトラブル時にも安心して対応できる」とご満足いただけました。
まとめ
ガソリンスタンドは多様なリスクにさらされる現場であり、防犯カメラはそのリスク軽減と業務の安全性向上に大きく貢献します。正しく設置された防犯カメラは、強盗・盗難などの抑止だけでなく、スタッフ保護や顧客トラブルの記録といった多面的な役割を担います。
株式会社セキュリティーフォーユーでは、ガソリンスタンドの立地・営業時間・運営体制に応じた最適な防犯カメラプランをご提案しております。リース・レンタル対応も可能ですので、導入を検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。