倉庫は、資材や製品を大量に保管する重要な施設である一方で、盗難や不審者の侵入、入出庫ミスなど、さまざまなリスクにさらされています。特に夜間や休日など無人の時間帯が多くなるほど、目が届かず被害の発見が遅れるケースも少なくありません。
こうしたリスクに対処する手段として注目されているのが「防犯カメラ」の設置です。カメラは犯罪の抑止に加え、証拠保全、作業記録の可視化、入出庫のトラブル対応など、倉庫管理を強力にサポートするツールとして広がりを見せています。
本記事では、倉庫における防犯カメラの導入効果や設置ポイント、コスト感、さらには実際の導入事例までをわかりやすく解説します。
目次
倉庫で発生しやすい主なトラブル
①保管物の盗難や紛失
倉庫は高価な資材や製品を多数保管するため、常に盗難リスクがあります。特に人目の少ない夜間や休日は狙われがちです。
・犯罪認知件数・検挙件数の推移グラフ
このグラフは、日本の物流施設や倉庫を含む「侵入窃盗」などの認知件数と検挙件数の近年の推移を示しています。特に2021年まで減少傾向だったものの、2022〜2023年には再び徐々に増加に転じている様子が読み取れます
②不審者の侵入や夜間の荒らし行為
倉庫敷地内への不審者侵入は、盗難だけでなく、器物損壊や放火など重大犯罪に発展する可能性があります。人目の少ない資材置き場、荷受け口、搬入口などは特に狙われやすく、一度侵入を許すと被害が拡大する恐れがあります。過去には、建設資材置き場が夜間に荒らされ、重機損壊や燃料抜き取り事件も報告されています。適切な対策がない倉庫では、こうした荒らし行為が発生しやすいです。
③入出庫記録ミスや誤配送
倉庫業務において、入出庫記録ミスや誤配送は日常的に発生し得る問題です。手作業や目視確認ではヒューマンエラーを完全に防げません。ある調査では、物流倉庫の誤出荷原因として「ピッキングミス」「検品ミス」「送り状貼り間違い」が上位です。これらのミスは、在庫不一致、納期遅延、返品対応など、多くの手間とコストを発生させ、企業の信頼を損なうことにも繋がります。正確な在庫管理のためにも対策が不可欠です。
④作業中のトラブルやクレーム対応の難しさ
倉庫内での作業中の事故、ヒューマンエラー、外部業者との連携トラブルなども、管理者にとって悩みの種です。例えば、フォークリフトによる製品破損、荷物取り扱いに関するクレームなどが発生した場合、状況確認や原因究明が難しいことがあります。当事者間の主張が食い違うこともあり、客観的証拠がないと問題解決が長引きます。実際に、運送業者からの荷受け時に「既に荷物が破損していた」という主張に対し、倉庫側が「受け入れ時は問題なかった」と反論しても、証拠がなければ解決が長期化するケースも少なくありません。水掛け論になるケースも少なくありません。
防犯カメラが倉庫にもたらす4つの効果
倉庫はたくさんの商品や資材を保管しているため、トラブルが起きると大きな損失につながります。そんなリスクを減らすために役立つのが「防犯カメラ」です。ここでは、倉庫に防犯カメラを設置することで得られる主な効果をわかりやすく紹介します。
⑴ 犯罪の防止と万が一の証拠確保
カメラがあるだけで、不審者にとって大きなプレッシャーになります。実際、泥棒や侵入者は「監視されている」ことを嫌がるため、カメラがある倉庫は狙われにくくなります。さらに、もし被害にあってしまっても、カメラの映像は犯人の特定や警察への被害届、保険申請などに役立つ大切な証拠になります。
警察庁のデータでも、防犯カメラ映像が捜査の決め手となった事例が報告されています。
⑵ 入出庫の記録とトラブル解決
荷物の出し入れ口にカメラを設置すれば、「どの荷物がいつ運ばれたのか」を映像で残せます。これによって、入出庫の記録ミスや誤配送があったときにも、映像を確認してすぐに原因を突き止められます。
例えば、運送業者が間違った荷物を届けたとき、カメラの映像が決め手となり、スムーズに返品・交換ができたケースもあります。
⑶ 作業ミスや事故の原因究明
倉庫の中にもカメラをつけることで、作業中の様子をしっかり記録できます。もし作業ミスや事故が起きた場合でも、「なぜ起きたのか」を映像で確認できるため、再発防止に役立ちます。
例えば、フォークリフトが棚にぶつかってしまった事故では、カメラ映像で運転状況や通路の問題を確認し、教育やレイアウト改善に活かせます。こうした対策は、従業員の安全を守ることにもつながります。
⑷ 信頼性アップと業務品質の向上
防犯カメラを設置することで、「しっかり管理している倉庫」という印象を取引先に与えられます。預かった荷物を安全に保管していることをアピールできるため、企業の信頼性アップにもつながります。
また、従業員も「見られている」ことで自然と作業に注意を払うようになり、業務の質が安定します。品質マネジメントを重視する企業でも導入が進んでいます。
倉庫に防犯カメラを設置する際の重要ポイント
倉庫は多くの資材や商品を保管している重要な場所。防犯カメラの導入で、盗難やトラブルを未然に防ぐことができます。設置の際は、次のポイントを意識しましょう。
1.死角のないカメラ配置
出入口・搬入口・資材置き場など、重要な場所をしっかりカバー。事前の現地調査で最適な設置位置を確認します。
2. 夜間でも鮮明に記録
赤外線カメラや高感度モデルを選べば、照明が少ない夜間でもクリアな映像を確保できます。
3. 広い敷地にはPTZカメラ
広い倉庫には、広範囲をカバーできるパン・チルト・ズーム(PTZ)カメラがおすすめ。遠隔操作で自由に向きを変えられます。
4. 長期間の映像保存
録画は1週間〜1ヶ月以上の保存がおすすめ。トラブル発生時の確認や証拠提出にも役立ちます。
倉庫に適した防犯カメラの種類と選び方
倉庫という特殊な環境に対応するためには、適切な種類の防犯カメラを選ぶことが重要です。
倉庫におすすめの防犯カメラの種類
1.ドーム型カメラ
特徴:天井に取り付けやすく、目立ちにくい
メリット:広範囲をカバー、破壊されにくい
適した場所:倉庫内の通路、出入口
2.バレット型カメラ(筒型)
特徴:屋外や長距離撮影に強い
メリット:遠距離まで鮮明に撮影、防水・防塵性能が高い
適した場所:倉庫の外周、搬入口、駐車スペース
3.パンチルトズーム(PTZ)カメラ
特徴:カメラの向きやズームを遠隔で操作可能
メリット:1台で広範囲を監視、ズームで細かい部分も確認できる
適した場所:広い倉庫内や敷地全体をカバーする場所
4. 360度全方位カメラ
特徴:死角をなくし、1台で広範囲を記録
メリット:設置台数を減らせる
適した場所:倉庫の中心部、複数通路の交差点
屋外カメラは「防水・丈夫さ」をチェック
倉庫の荷受け口や資材置き場などにカメラをつける場合、雨や風、ほこり、強い日差しにも耐えられるカメラを選ぶことが大切です。
そのためには、防水・防塵性能を示す「IP規格」を確認しましょう。数字が大きいほど性能が高く、屋外ならIP66以上がおすすめです。さらに、イタズラや破壊に強いカメラ(耐衝撃性能が高いもの)を選ぶと安心です。
AIカメラで不審者や車を自動で検知
最近は、AI機能を持ったカメラが人気です。
- 人や車を自動で見分ける
- 不審な動きがあったときだけ録画する
- 管理者にスマホで通知
といったことができます。
例えば、「境界線を超えたら警告」や、「長時間うろうろしている人を検知」する機能もあり、倉庫の広い敷地での防犯にとても役立ちます。
音声録音や会話できるカメラも便利
映像だけでなく音声も録音できると、トラブル時の証拠になります。さらに、カメラを通して会話できるタイプなら、遠隔で作業指示を出したり、不審者に「ここは立ち入り禁止です!」と警告したりできます。夜間の防犯や緊急時にも心強い機能です。
性能とコストのバランスを考える
防犯カメラにはたくさんの種類があり、性能が高いほど値段も上がります。
すべてを高性能にするのではなく、重要な場所だけAIや音声対応のカメラにして、他は基本機能のカメラにするなど、倉庫の広さや予算に合わせて選びましょう。
専門業者に相談すると、無駄のないプランを提案してもらえます。
防犯カメラ導入にかかる費用とコスト感
防犯カメラの導入を検討する上で、費用は重要な要素です。主な費用とそのコスト感について解説します。
初期費用(機器代・設置工事費)の目安
防犯カメラを設置する際の初期費用は、主に「カメラ本体の費用」と「設置工事費」に分かれます。
- カメラ本体の費用は、カメラの種類や性能、設置する台数によって変わります。
- 設置工事費は、カメラを取り付ける場所(屋内か屋外か、高い場所かどうか)、配線の取り回しの難しさ、電源工事の必要の有無で変わります。
電源が遠い場所や、配線を目立たないように隠す工事が必要な場合は、費用が少し高くなります。
メンテナンス・録画機器更新などのランニングコスト
防犯カメラシステムは、導入して終わりではありません。安定した運用を続けるためには、ランニングコストも考慮する必要があります。
- ウェアのアップデートなど、定期的な保守費用が発生します。
- 録画機器の更新費用: レコーダーのハードディスクは消耗品であり、数年ごとに交換が必要になる場合があります。
- 電気代: カメラや録画機器は常時稼働するため、わずかながら電気代がかかります。
- 通信費用: 遠隔監視を行う場合、インターネット回線の費用がかかります。
また、長期間映像を保存する場合は、大容量のストレージが必要になり、費用も増えます。
保守契約を結べば、トラブル発生時の対応や定期点検を業者に任せられ、長期的に安心して使用出来ます。
ランニングコストも長期的な視点で把握しておくことが重要です。
サブスクリプション型導入(レンタル・リース)の選択肢
防犯カメラの導入方法として、初期費用を抑えたい場合や長期間の利用を前提とする場合、サブスクリプション型の導入が有効です。特にレンタルは、個人宅や小規模店舗でも利用できる柔軟なサービスです。
レンタルの特徴
- 初期費用を大幅に削減:購入時のような高額な初期投資が不要で、月々の定額料金で利用可能。
コストを抑えて導入したい場合に適しています。
- 契約期間や保守内容の違い:レンタルサービスの契約期間や、保守・メンテナンス内容は業者ごとに異なります。契約前に内容をしっかり確認することが重要です。
メンテナンスの重要性
防犯カメラは長期間使用すると故障や劣化のリスクがあるため、必要に応じてオプション契約を追加し、定期点検やメンテナンスを行うことで安心して利用できます。
法人・個人事業主の方はリースも可能
法人や個人事業主の場合、レンタルだけでなくリース契約を選択できる場合があります。リースは経費処理がしやすく、長期的な利用に向いています。ただし、リース契約には契約期間や中途解約の制約があるため、事前に条件を確認することが重要です。
一時的な利用や、初期投資を抑えたい倉庫オーナーにとって魅力的な選択肢です。
防犯カメラで倉庫のトラブルを解決した実例紹介
実際に防犯カメラを導入し、倉庫の様々なトラブルが解決された具体例を見ていきましょう。
① 倉庫荒らしを防いだケース
- 状況:夜間に盗難被害があった倉庫。
- 対策:出入口や死角にカメラを設置。AIで不審者を検知
- 結果:真夜中に侵入を試みた不審者を、警報とライトで撃退。
② 荷物の紛失トラブルをスピード解決
- 状況:物流センターで「荷物が届かない」クレーム。
- 対策:搬入口や通路にカメラを設置し、荷物の動きを記録。
- 結果:映像を確認し、荷積み時の入れ違いと判明。すぐに対応でき、信頼を守れた。
③ 作業ミスを映像で確認、再発防止
- 状況:梱包ミスや破損が頻発。
- 対策:作業エリア全体をカメラで記録。
- 結果:作業員が手順を省略していたことが映像で判明。教育と手順改善でミス減少。
④ 外部業者とのトラブルを映像で解決
- 状況:資材の破損や数量不足で業者とトラブル。
- 対策:搬入口で作業をすべて撮影。
- 結果:破損は搬入後と映像で証明。話し合いがスムーズになり、関係も良好に。
防犯カメラは「盗難対策」だけじゃない!
トラブルの原因究明
証拠でスムーズ解決
作業改善にも活用できる
株式会社セキュリティフォーユーが行った倉庫防犯カメラ設置事例
①【大型倉庫への防犯カメラ設置工事を実施】
広大な敷地を持つ大型倉庫にて、防犯カメラの設置工事を行いました。
現場は高所作業を伴うため、安全対策を徹底しながら作業を進行。今回は超広角レンズ搭載のパノラマカメラを採用し、倉庫内を広範囲にカバーできるよう設計しました。
「想像以上に広く見渡せて安心できる」と、お客様にもご満足いただいております。
②【資材倉庫への防犯カメラ設置工事を行いました】
出入口や死角になりやすい箇所を中心に、複数台の防犯カメラを設置しました。
万が一のトラブルにも備えられる安心のセキュリティ体制に加え、スマートフォンからの遠隔確認も可能なシステムのため、お客様からは「管理がぐっとラクになった」とご好評をいただいております。
③【資材倉庫への防犯カメラ設置事例】
資材倉庫様に防犯カメラシステムを設置させていただきました。広い敷地内の死角を最小限に抑えるよう、出入口や見通しの悪い箇所を中心に、カメラを効果的に配置。あわせて、スマートフォンやPCから映像をリアルタイムで確認できる遠隔監視システムを導入しており、現場のセキュリティ強化はもちろん、「見える化」による安心感もご提供しています。お客様からは「外出先からでも状況が確認できて助かる」とのお声をいただいています。
まとめ
倉庫は、資産を守る最後の砦でありながら、無人の時間が長く、トラブルに気づきにくい場所でもあります。防犯カメラを導入することで、盗難や不審者の侵入、誤配送といったリスクを可視化し、再発防止や迅速な対応につなげることができます。
株式会社セキュリティフォーユーでは、倉庫の広さや構造、業種ごとの管理体制に応じて、最適なカメラ機器のご提案から設置、保守、遠隔管理までワンストップで対応可能です。防犯と効率化を同時に叶えるカメラ導入、ぜひ一度ご相談ください。